オーストラリアの自宅にソーラーパネルを設置してみた
最近新築を建て、近所に引っ越してきた友達にソーラーパネルの設置に聞かれたので、既に設置を終えた我が家の経験を踏まえ、何を事前に検討するといいのか、実際に友達と話しをした内容をまとめてみました。
ちなみに我が家が設置したのは 「Canadian Solar」のパネル3.5kW、「Fronius」のインバーター3kWです。最後にもう少し詳しく書いてます。
(※この記事ではバッテリーの設置は考慮しておりません。)
- はじめてソーラーパネルの設置を考えてる人
- 何から考えていいのか迷ってる人
- どんなブランドがあるのか知りたい
- どれくらいの容量が必要など、おおよその金額を知りたい
まず何から考えていいのか。過去に設置した事がないと迷いますよね。と言うことで実際にお友達と話した内容を元に順番に書いてみます。
1.何人家族? 日中、家に居て生活している人はいる?
2.自分たちの電力使用量を計測してみる。
3.ソーラーパネルの設置の向きを考えてみる。
4.家の屋根の設置可能面積を考えてみる。
5.ソーラーパネルとインバーターのブランド。
6.インバーターの設置位置は?
7.設置後、アプリでモニター。
8. その他
1. 何人家族? 日中、家に居て生活している人はいる?
はじめに何人家族か、日中家にいて生活している人がいるのか聞いてみました。そもそもソーラーパネルを設置してその効果が得られるのは日中太陽がある間だけだからです。
例えば二人暮らしで日中は二人共仕事等で外出している場合。家で電力を使うことはほとんどないと思います。冷蔵庫やテレビ等の家電の待機電力のためにソーラーパネルを設置する必要はないと思います。
日中に家で生活をしている方がいる場合は導入検討の余地があると思います。特に夏場は日中暑くなるため、家に居るとエアコンを使う可能性がありますので導入する価値はあるでしょう。またソーラーパネルを設置したら、日中に掃除や洗濯もしましょう。掃除機や洗濯機も毎日の事になると電気代もそれなりの額になると思います。加えてガジェットなどの充電もどうせなら日中にすると良いでしょう。
2. 自分たちの電力使用量を計算してみる。
難しくないので、ぜひやってみましょう。
自分で電力量を確認しない場合は、業者に頼んで家族構成や日中の生活パターン、直近の電力会社からの請求書を元に設置するソーラーパネルの容量を決めます。大半の人はこの流れだと思います。我が家が設置にあたり、業者とやり取りした経験から、自分たちである程度把握していないと、必要以上に大容量の設備を提案されたりします。平気で吹っかけてきますから要注意です!
さてどうするかと言うと、月曜日の朝起きて電力メーターの数字をメモしておきましょう。その次に定期的にメーターの数字を記録していきます。順番に夕方(12時間後)くらい。火曜日の朝、そしてまた夕方くらい。これを日曜日の夕方まで1週間続けて記録してみましょう。ここから分かる事はそれぞれの間隔でどれだけ電力消費したかという量が分かります。
例えば最後に記録した日曜日の夕方の数値から始めに記録した月曜日の朝の値を引けば、1週間でどれだけ電力を使用したか、その電力量がわかりますよね。 同様に引き算をして、月曜日の夕方から月曜日の朝の値を引けば、月曜日の日中に使用した電力量が分かります。そういう感じで電力量を計ってみます。
ソーラーパネルは「日中、太陽が出ている間に電力を生成します。」よって注目すべきは「日中に使用した電力量。」です。
電力量をメモしたところで、kWとkWhの違いを理解しておきましょう。
kWはその瞬間に使用している電力。例えば今この瞬間にヘアドライヤーで1000W、電子レンジで調理中で600W、オーブンで1500W使っているとします。すると合計は3.1kW (3100W) となります。
一方でkWhはその瞬間に使ってる電力ではなくて、一定期間に使った電力の量になります。なので、上記ヘアドライヤー、電子レンジ、オーブンを1時間使い続けたと仮定するとその量は3.1kWhになります。30分だと使った電力量はその半分なので1.55kWhとなります。
3. ソーラーパネルの設置の向きを考えてみる。
普段あまり自分の家の屋根がどちらの方角を向いているか、気にした事はないと思います。ソーラーパネルを設置する時はとても重要なポイントです。オーストラリアも日本と同様太陽は東から上って西へ沈みます(地球上何処でもですが・・・、天才バカボンで覚えてる人は要注意です(笑))。だたし南半球ですので太陽は南の空ではなく、北の空へ上がっていきます。「えっ!」なんて思った方もいるんじゃないでしょうか?
なので基本的に北向きの屋根がメインになります。その次は東向き?西向き?という事ですが、この辺りからちょっと複雑です。というのも、日中家にいて活動するパターンを考えてみます。午前中たくさん電気を使って生活するパターンで午後はちょっと外出が多くて暗くなるまで帰宅しないのであれば、追加のパネルは午前中に陽があたりやすい東向き。一方で午後の方が家で電気を使う事が多いのであれば西向きなど考えてみましょう。
ちなみに我が家は全部北向きに設置しましたが。後になって数枚パネルを西向きに設置してもよかったかなぁ~と思いました。その理由は夏は家が暖められ、家の中の気温も午前中より午後にどんどん暑くなります。ですのでエアコンの使用も午後から夜にかけてが多く、つまりその時間帯に多くの電気を使用するからです。夏は日も長いので、可能な限り日が沈むまでソーラーパネルからの電気でまかなう事ができれば、なお効率良かったかなぁ~と思いました。
4. 家の屋根の設置可能面積を考えてみる。
電力量をメモして屋根の向きも考えてみたけど、「そもそも私達の家の屋根って設置できるスペースある?」なんて方もいるのではないでしょうか。最近は土地の面積が狭いけど都心では2階建ての家(タウンハウス)も増えてきてるようですので、そういうお家では設置できるパネルの枚数も制限があると思います。
4人~6人家族で平均的なお家で屋根が広くて20枚くらいかそれ以上パネルが設置できるというのであれば、それほど気にしなくていいと思いますが、10枚くらいかそれ以下、加えて設置の向きにも制限がありそうな場合はいろいろと制限が出てきそうなので、ここは業者さんに相談してみましょう。(必ず複数の業者に相談する事がポイント)
パネルってただ太陽を浴びてるだけじゃないんですよね。パネルの性能で同じ大きさのパネルでも生成できる電力に差があります。高効率なパネルは単位面積辺りで比較すると、そうでないパネルより多くの電力を生み出す事ができます。つまり少ないパネル枚数で必要な電力を生み出すので設置面積は少なくてすみます。その代わりそのようなパネルの値段は高い物になると思います。でも屋根が小さい場合は他に選択肢はなくなってくるという具合です。何枚でも設置できるのであれば高価なパネルでなくてもいいと思いますので、そこは設置コストとのバランスになると思います。
業者さんと話をする時に、こういう事も少しだけ頭の片隅で覚えておくといいと思います。
5. ソーラーパネルとインバーターのブランド。
ここまできたら後はどこのパネルとインバーターにするか。なかなか素人だと難しくって分からないので、必ず複数の業者さんに聞いて、その情報を元に設置するパネルとインバーターを決めるといいと思います。
ネットで検索すると沢山のメーカーが出てきますが、インバーターなどはあまり安い物は避けたほうがいいでしょう。ひとつの基準として何年保証かというのを目安にするのもいいと思います。我が家のインバーターは「Fronius」ですが上位ブランドに入ると思います。他には「SMA」や「Solar Edge」などある程度メジャーブランドがいいのではないでしょうか。我が家が見積もりを取った時に営業さんから聞いた話では導入後に故障が多いのはパネルよりインバーターだと言うことでした。なのでここには費用を掛けてもいいかなと。
パネルも同様にですが、我が家は屋根の面積は十分でしたので、パネルは「Canadian Solar」にしました。「LG」や「Sunpower」のようなトップブランドではありませんが、寿命が若干短くてもまたその時にいい物に変更するればいいかと思い、初期導入費用を抑えました。またブランド内でも何種類かグレードがありますので、そこも必ず業者さんと相談し、予算を考慮して選択することをおすすめします。
実際は何も説明されずに見積もりされる場合もあると思いますが、後でその見積もり内容を見てみるといいと思います。気になったら後日聞いてみましょう。
6. インバーターの設置位置は?
インバーターの設置位置なんて事前に検討していた人はほとんどいないんじゃないでしょうか。我が家も業者さんと見積もりの話をしている時でさえ具体的に設置場所の話はなく、商談が終わる直前にガレージをちらっと覗いて帰って行ったくらいでした。
これからソーラーパネルを設置する方は後で後悔しないように、ちゃんと設置場所も考えておきましょう。理由はおそらくガレージにガラクタや荷物を収納するのにラックを買って設置している人が多いと思います。(オーストラリアあるある) ですので、あまりラックの邪魔にならない場所を考慮した方がいいと思います。そしてもう1つ、将来バッテーの価格が下がって設置する事になったら、そのバッテリーの設置位置とスペースも考慮しておいた方がいいと思います。
業者さんから見積もり段階で何も話が出なければ、上記も聞いてみるといいでしょう。
7. 設置後、アプリでモニター。
さて、無事に設置できた後は。「どれだけ電気を生成してくれてるのだろう?」とか「次の電気代の請求書が楽しみだね~!」という具合です。
我が家はインバーターが「Fronius」。業者さんが設置と同時に自宅のルーターへの接続設定をし、「Fronius」のアカウントも作ってくれました。後はスマホにアプリをダウンロードすれば、下記のような情報を見れるようになります。
左はリアルタイム情報。よ~く見ると左上の単位が “W” になってます。これがその時に生成している電力です。我が家は3kWのインバーターなのでほぼ100%出てます。時々上がったり下がってリしてるのは太陽が雲に隠れた時とかです。結構敏感に反応します。
次に真ん中ですが、これは月単位で見た場合です。8日は天気も悪くて1日に生成した電力量は他の日に比べて少ないですよね。ちなみに左上の単位は “kWh” となっています。
そして右のグラフ。これは1年を通してみた月毎の生成された電力量です。南半球なので6月、7月の冬の時期は夏に比べてずいぶん少なくなっていますよね。これで日照時間の変化もよく分かるグラフになっていると思います。12月はまだ1週間も経過していないので、棒グラフがこれから伸びていき、月末には600kWhは超えてくるはずです。
このアプリ、年毎の生成量を確認することもできるのですが、目安としてパネル寿命も確認できるのではないかと思っています。時の経過と共に電力生成量が低下してくれば、パネルの寿命とかインバーターの故障?などと確認する事もできると思います。それでなくても天気のいい正午頃にめいいっぱい電力を生成しなくなったら、寿命かな?なんて考えてみるといいかもしれません。インバーターに不具合があるかもしれませんし、一度業者に点検をお願いしてみるといいかも。
(点検を踏み台にして販売営業する可能性大と思います。これも気をつけましょう!)
8. その他。
最後になりましたが、我が家が設置したのはインバーター「Fronius Primo 3.0」とパネル「Canadian Solar CS6K-290」(確か・・・) 13枚。がんばって値切って(笑) 設置料込で $3,000.00でした。
(日本円で27万円くらい。日本のお住まいの皆様はこの値段を聞いてびっくりするのではないでしょうか。)
他にはパネルって掃除が必要?なんて考える人もいるかもしれません。我が家は今のところ掃除したことないですが、気になる方は購入時に業者に聞いておきましょう。パネルの表面が鳥の糞だらけになったら、さすがに生成される電力も低下するかも。
インバーターとパネル以外には「Fronius」だとSmart Meterなるものがあります。何を計測するかというと、パネルで生成された電力がどれだけ家の中で使われていて、どれだけ外に流れているか(電力会社側に流れているか)を見ることのできるメーター。数百ドルしますが、私たちは見積もり段階で相談しましたが、オプション追加したところで電気代が下がる訳でないので設置しませんでした。使い方(見方)によっては節約のモチベーションになるかも。
以上、最後まで読んでいただいてありがとうございました!